化学的視点からなんか考える

1.緒言

みなさんこんにちは。今回から自分の専門分野からさまざまな現象を観ていくという企画をやっていきます。不定期だしいつ辞めるかもわかりません。


これはストーリー性のある論理的な文章を作成する練習が主な目的です。昨今では能力を持っていたとしてもその伝え方で損をすると言うケースがそれなりに多いです。この能力は一朝一夕で身につかないのでボチボチやっていきます。


2.テーマ説明

第一弾は食事です。


肉食vs菜食の構図、見たことありませんか?ツイッターだと往々にして見られるものですね。日本だと、肉フェスにエグい写真を持っていったとかで話題になりましたね。


この話題、何が気になるかというと相手側の敵対心です。


恐ろしいくらい攻撃的ですよね?まぁポケモンやってる人からすれば比較的当たり前なのかもしれませんが

落ち着いた大人の方がこの話になると急にムキになるというケースも散見されます。


そんな時

「こいつら肉食わないからキレやすいんだよ」


って言葉を耳にします。まぁこれだけ状況証拠が残っていればそう言いたくなる気持ちもわかります。ただ、そこには感情論しかなく、根拠が不在しています。そこで今回は


肉を食わないキレやすくなる※


の仮説に妥当性があるのか検証します。


形容詞に命題をつける時点で、断定した結論を出すことはほぼ無理でしょう。(人による可能性が大きいから)

しかし、ある傾向が現実として存在しており、その原因として何が考えられるかを検討することに意義はあると考えています。

また、今回の考察が全てというわけではありません。可能性の1つとして捉えてください。

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サムネ用の僕の昼ごはん


3.前提の確認

おそらく多くの人が、いろんなものをバランスよく(?)食べている側だと思います。いわゆる雑食ですね。これに対し、今回の人は菜食を取っています。では、自信を持って僕らは雑食が正しいと言えるのでしょうか?


育ってきた環境が違うから〜

好き嫌いは否めない〜


もしかしたら、「たまたま」雑食の家に生まれたから雑食なだけで、本当は菜食の方が正しい説もありそうです。雑食だからこそ、メタボなどの問題が出るわけですからね。


ここで考えていくことは進化論です。進化論とはざっくり言えば、「とある集団の中で環境適応に有利なものが生き残っていき、その特質が後世に引き継がれていく。」というものです。


例えば、キリンは頑張って首を長くして草を食べたのではないです。首が長い個体がそうでない個体より生き延びやすく、その結果その個性が引き継がれていった。


というのが進化論の考え方です。


ということは、人間の祖先をたどっていき、その習性が現代まで引き継がれているのであれば、その特性は生き残る上で重要な特性である。


と言えると思います。そのモチベーションの元に考えていきます。ここで、面白い記事を見つけたのでURLを紹介します。


http://www.daiwa-pharm.com/info/fukuda/7096/


ざっくりまとめると、氷河期に人間が肉食になったこと、それがスイッチとなって異なる体の変化をしたことが書かれています。


つまり、人間が肉を食うようになったのは氷河期を「生き残る」ために手に入れた個性であり、それが現在まで引き継がれているため、肉食は人間が生き延びるための優秀な個性と言えるでしょう。


つまり、人間は雑食であるということは生物学的に正しいというのが、結論として言えるかと思います。


4.化学的見地

さて、ここまでで雑食は人間が生き延びるために獲得した個性だということを説明しました。では、肉食のどこに利点があるのかを次に考えていきます。


この話はRNAワールドという話でよく考えられるものです。ざっくり説明すると、生物は初期段階で、RNAというものが自己増殖等を行なっていたものの、タンパク質やDNAが何かの拍子に導入されたことによって、その機能をこれらに委託するようになった、というものです。


肉食になったからには何か外部委託したものがあるに違いない、そういう感じのモチベーションです。


ここで僕が考えるのは必須アミノ酸です。


必須アミノ酸とは、人間の体内では生成できないけれども、生きていく上で必要なアミノ酸のことです。


これは外部から獲得しないといけないわけですね。


その中で今回注目するのはトリプトファンという化学物質です。


こいつはよくわからん5角形の環を持っています。インドール環と呼ばれるもので、結構レアな形をしています。


こいつはセロトニンやアドレナリンといった化合物の原料になるものです。


セロトニンとは幸せ物質の1つで、幸福感を感じると分泌される物質です。


また、これはエストロゲン(女性ホルモン)の原料になったりします。


つまりトリプトファンは割と大事な物質なんだなってのが伝わったと思います。こいつがなくなったら大変だろうなぁそう思うわけです。あれ、でもこれ自分で作れないんだよな?


つまりそういうことです。必須アミノ酸であるトリプトファンを食事から獲得しないと、これらの重要な化合物が生成できないことになるのです。


もちろんこれは必要条件なので、取ってるからといって鬱にならないというわけではないです。ただ、意識して取る必要があるなぁとは思うわけです。


ちなみに、このような必須アミノ酸は肉や魚に多く含まれています。植物には割と少ないです。


このことから、化学的な視点で見れば、菜食だけでは必要な栄養を賄うのが難しいという結論が出ました。


さらに、幸せ物質の分泌が少ないということはそれだけ穏やかではいられない=キレやすくなるということになります。つまり、最初に述べた命題である


肉を食べないキレやすい


は化学的視点から割と適切なのではないかなと言えるでしょう。


今回の議論では定量性に欠けています。まぁ比較が肉を食うか食わないかでしか行なってないので、数値的な厳密性は出せないです。


5.教訓

これらのことを踏まえて、ここからは僕の感想を2つ述べます。


1つ目は極端な主張は他人に押し付けるべきではない。ということです。


肉を食べないというのはいろんな意味できつい行動です。生物学に反した生き方ですからね。


とはいえ彼らの意見も分からなくはないです。

動物の命は絶たれた瞬間に終わってしまうわけです。一方で野菜はそれをいただいたとしても、根があれば再生します。枯れるという段階まで行ければそれは命を全うしたということになるわけなので、殺生を行わなくて済む、というのは分からなくはないです。


その主義主張は否定しません。しかし、それによって健康被害の責任まで菜食論者はとる気は無いと思います。そこまで責任を取る気がないのに押し付けることはやめましょう。


我々が生きるために尊い命を奪っている、だからこそ食事には感謝の念を持っていただく。というものがあります。食物連鎖の都合上、命を奪って生きることはしょうがないことだと思っています。だからこそ、残さずしっかり食べたいものです。


もう1つは、食事に制限をかけるときは慎重にということです。


菜食では、必須アミノ酸の獲得が困難になるため、健康に過ごすには知識がいるということです。安易に行えないというのは感覚的にわかります。


ただ、ダイエットになるとこれが守られないケースが多いと思います。


ダイエットの時、脂肪や糖質を目の敵にしていませんか?これらを無理して取らない、という選択をしている人はそれなりにいるのでは無いのでしょうか?


脂質はホルモンを作るのに必要ですし、糖質はエネルギーの供給源です。それなりに取る必要はあります。


糖質制限、ケトジェニック。最近流行りで即効性があるという話だけ聞いて、とりあえず抜けばいいやろ?くらいに考えていませんか?


バランスを考えるというのはそれだけ大切なことなのです。今回のことを教訓に無理のない食事管理を行ってほしいです。


6.終わりに

以上で今回を終わりにします。噛み砕いて説明したため、多少の厳密性が失われたかもしれませんが許してください。

なんかこのネタ聞きたい的なのあれば言ってください。